万能になるための苦労と得手不得手の理解

看護師が医療現場に就職すると当面の間はその現場で独自に行われている教育システムに応じて研修が実施される。教育の目標は看護師として働けるようになるための総合的な能力を身につけることである場合が多い。平たく言えば万能になってどの医療現場でも働けるように教育を行うのが典型的なのである。職場によっては専門性の高さを重視した教育を行う場合もあるが、総合病院ではジョブローテーションなども取り入れてまずは広く浅く経験を積めるシステムを取り入れているケースが増えている。

しかし、万能を目指して総合的な教育を受けている間は学ばなければならないことが多すぎて苦労を強いられがちである。それを乗り越えてからも全般的に自分を磨いてあらゆる仕事を十分にできるようにならなければならないと苦労を続けてしまう人は多いだろう。しかし、誰にでも得手不得手はあるものであり、必ずしも万能を目指す必要はない。自分の適性を見極めて働くという視点は専門性が高くなるにつれて重要になっていくだろう。苦手なものは他の看護師に任せ、自分の得意な仕事を担っていくと良いのである。適性を判断した結果として転職するということもあるかもしれない。

自分の得意なものに執着して努力を続けるのはそれほど大きな苦労にはならないだろう。そのため看護師として必要とされる能力について全体像をつかんだ後は、自分の得手不得手を判断した上で能力開発を行っていくのが賢明なのである。